『なるべく働きたくない人のためのお金の話』
『なるべく働きたくない人のためのお金の話』大原 扁理 著
本について、雑な概要
- 著者の「隠居生活」について、そこにたどり着いたいきさつ、お金(や人生)に対する考え方などが綴られている。
- 著者は、元々は上京して毎日アルバイトで暇なく働きながらも苦しい生活を送っていた。が、「働くのつらい!やめる!」って東京郊外安いアパートに引っ越して、そこで必要最低限だけ稼ぐ「隠居暮らし」をしていた。(本書執筆時点では、台湾に移住している)
- 著者の大原氏自身、小さい頃にはお金持ちになりたいと漠然と考えていたこと、また隠居生活にあたって改めてお金に対する見方を見直したり、生活する中でお金に対する価値観が変わっていったりしたこともあってか、お金に対する考え方について後半かなりのページを割いている。
読んだきっかけ
- たぶん、退職してからの時期にブックオフかネット(中古)で買ったんだったような気がする。(ごめんなさい忘れました)
- 自分自身、退職した当初とかしばらくの間は、かなり「お金がなくなる」ことに対しての恐れが頭の片隅にこびりついていたんだろうと思う。だからこの本も買ったんだろう。
- ちなみに、前回記事にした『そのお金のムダづかい、やめられます』も同時期に買ったもの。当時の自分が、収入が無くなったのに消費行動が変えられないことに切実に困っている様子が伺える。
- これも購入したのは半年以上前で、途中まで読んで部屋に転がっていたので、読了しようと読んだところをパラパラと見返しつつ、読み進めた。
隠居生活を始めるにあたって
- 著者が、隠居生活を始める(=つらい場所から抜け出す)際にやったことや注意した事項が挙げられているが、多くの項目が、刺さった。見出しごとにグサっ。
- スタンスとしては、お金はいっぱいあればいい!ではなく、自分がどう生きたいかをきちんと考えた上で、それに必要なお金があればいいじゃない、という。
- 要は、お金のためのつらいこと・やりたくないことはやめて、必要な分だけ働きましょう、という話。だけど、極端になったりして完璧を目指すのも良くないよ、いきなり変えるんではなく徐々に変化すればいいじゃない、みたいなバランスの取れた考え方、という印象。
- 「必要な分だけ働く(=稼ぐ)」というのは、過去記事で取り上げた『あやうく一生懸命生きるところだった』や『嫌なこと、全部やめても生きられる』でも共通してみられた考え方だった。
自分が知らないだけで、割と浸透した考え方なのかも…とか思った。
お金にも人格がある(!?)
- なんだか読んでいるうちに、「え、もしかしてスピリチュアルとかそういう
類 ?」とか思ったけど、「お金持ちになる方法」みたいな本にも割と登場する概念のよう。ほう… - お金に感謝したり、うまく使えなかったときは謝ったり。なんだか絵本の話のようだと思った。
- 著者は「年収100万」なので世間一般から見たら決して「お金持ち」というイメージはないと思うが、それでも「(安くなくても)本当に届けたい人に届くようなお金の使い方をしたい」という金銭感覚を持っているのは、本当に真剣にお金に向き合ってきた著者だからこそ獲得したものなのではないか、と感じた。
普通、こういうこと考えるのって大金持ちとか貯金いっぱいあるような、本当に余裕のある人なんだろうし、普通はお金のこと考えるって言っても「1円でも安いものを買う」とかそういう考えを持ちがちだよね。 - 本当に「自分に必要なものがなんなのか」っていうのをちゃんと肌身でわかってる人なんだなぁ、と。お金のことを真剣に考えてきたからこそ。
- あと、「稼ぐ時の気持ちや、使う時の気持ちも大事」っていう考えはなかったのでなるほどだった。「嫌なこと我慢して稼いだお金(だから、手元に置いておきたくなくてムダづかいして使ってしまったりするし、その時買ったものもあまり使いたくならない)」というのは意識したことなかった。
これと似てるような気もするけど、私の場合モノを使う時の気持ちは重視する。服なんかは、冬のアウターとかでも仕事で着る服とプライベートで着る服は全部完全に分けた。もちろん靴とかも。仕事で嫌な思いしたときに着ていた服を、オフの時に着たくない、という思いはあったw
全体的に
- 穏やかな印象のある文章だった。読んでいて、著者は優しそうな人だなぁ、と思った。
- この方も、読書が好きなんだと書いてあった。読書コンプレックスの私としては、「やはり本をたくさん読まねば」という気持ちにさせられたw
- あと最後に書いてあった ”あらゆる方法で心を急かしてくるものを、きちんと拒むこと” というのはまさに、『そのお金のムダづかい、やめられます』で解説されていた「買わせる側」のことを言ってるなぁ、と思った。流されないできちんと自分の頭で考えて判断することが大事。だね。
- 自分もお金のこととか、自分が本当に望んでいること(またはやりたくないこと)とか、生きる姿勢をきちんと考えてみようと思える本だった。ふせんがたくさんついたので、近いうちにまた開いて刺されたいと思った!
『そのお金のムダづかい、やめられます』
『そのお金のムダづかい、やめられます』菅原 道仁 著
本について、雑な概要
- ムダづかいしてしまう人のために、人間がムダづかいしてしまうメカニズムを脳神経外科医からの視点で解説している。
- 著者は脳神経外科医。他にもメンタルハックや子育て、食事法の本まで出している。
- 心理学の観点から、また断捨離に通じるような考え方まで、お金の使い方から人生観みたいなものまで、最終的にはなんか網羅的に書かれていた。(もちろんムダづかいへの処方箋、が大半だけど)
読んだきっかけ
- ムダづかいがやめられないから。涙
- この本は確か、退職して無職になってから、でかめのブックオフをプラプラしているときに見つけて、タイトルで購入を決めた本。
本を買うほど切実にムダづかいに困っている。しかも無職なので。
ムダづかいをやめたくてお金を使う。哲学的な何かを感じてしまうけど。 - 購入したのは半年以上前だけど、部屋に転がっている本書を見つけ、一念発起して再読。
半年前に読んでの結論
- ムダづかいはやめられなかった。涙
- この本を購入したのが多分半年以上前のことなので、あれからいくらムダづかいをしてしまったかなぁ(遠い目)という感じ。
- おそらく、これ1回読んで部屋に転がしておいただけでは消費習慣はそう簡単には変わらない。依存症みたいなものだからね(切実)。
再読して感じたこと
- ムダづかいしそうな時に考える6つのこと
- 対象から距離を置く
ショッピングアプリやサイトなどを見ないようにする - 「買いたい!」と思っている時の高揚感を自覚する
その場で購入してしまわずに、一旦時間を置くなどして頭を冷やす - もともと欲しかったものなのか、考えてみる
- 使う頻度を考えてみる
買ってまで頻繁に使う見込みがあるかどうか - 過去の買い物での失敗を思い出してみる
捻り出そう - その商品がセールされている理由を考えてみる
シンプルに、値段相応の価値がないものなのではないか? - 著者の言うように、脳は深く考えずに周囲に流されることを心地よいと感じ、欲しいものを前にした時の高揚感から反射的にムダづかいをしてしまうので、この本にインデックスをつけて買い物しそうになったときに開きたい、とすら思った。
- まじでムダづかいやめたい。ミニマリストになりたい。本書はこの「身の回りをシンプルに整える」ことについても少し記述があった。
- 書かれている対処法自体は、特にめちゃくちゃ新しいということもなく、「見ないようにする」とか、「よく考える」とか、そんなんだけど、そこに脳科学の観点からの解説が加わってより説得力を持たせている。
- これも特に目新しい視点ではないが、買わせる側のカラクリについて、これも心理トリックなどの解説しており、有益。
- どっかのブログにも書いてあったけど、「ビジネス書は、読みたいところだけ読む」でいいらしい。本書も、ムダづかいのケースごとに対処法が載っているので、自分に該当しないところは別に読まなくても大丈夫じゃないか、と。
(例えば、私は「買い物でストレス発散」や、「ぷらっと店に立ち寄る」などは当てはまるが、「買い物で自己顕示欲を満たす」は当てはまらない。) - ムダづかいのケースごとの対処法→買わせるテクニック解説→ムダづかいをやめて良い買い物をするには→お金、時間、自制心、人生\(^o^)/
って、最後めっちゃ壮大になってる。
私はごちゃごちゃしてばかりで何も成し遂げていない人生の前に呆然と立ち尽くしていますとも、ええ… - せっかく自分の直すべきところの指南書なのに、1回読んだだけでそのまま(汚)部屋に転がしておいてはなんにもならない!改めて、読書は(特にビジネス本やハウツー本なんかは)アウトプットあって初めて本の価値を受け取れるものなんだなぁ、と痛感した。
- そう考えると、本って自分みたいに積ん読してバカスカ買うのってマジで費用対効果低くて、本当は読書ってもっともっと少ない金額でたっぷり時間をかけて消化することで、めちゃくちゃ効用を得られるアクティビティなんだなぁ、と痛感。
ところで
- 心理学の本はめっちゃ頭を使うと感じた。それぞれ、例としてあるシチュエーションが挙げられていて、その登場人物とかに感情移入して?考えたり、自分だったらどうするか考えてみよう!というような、アウトプットさせられる箇所が突然出てきたりw
以前に読んだ『自分では気づかない、ココロの盲点』という本も、読むの大変だった記憶がある。というか読了したかすら記憶にない… - こういうの苦じゃなく読むのには、やはり回数を重ねるとか訓練が必要なのかな。有益ではあるから、心理学とうか心理現象の記述を苦じゃなく読めるようになりたいな、と思った。
最後に
- せっかくなので他にも「ムダづかい」に関する本を読んでみたいと思った。著者の本で他にもお金に関する本があるようだが、せっかくなので他の人が書いた本で同じテーマの本を読んでみたいと思った。
- 最後の方で、断捨離っぽい考え方とか人生観が載っていたが、自分はミニマリストとは正反対のごちゃごちゃした生活をしているので、断捨離とかそういう系の本も一度ちゃんと読んでみたいと思った。
- なにより、ムダづかいしそうになったときに、手元に置いて開きたい、と思った。(というか、買い物するときに思い出せるくらい何回も読み込むより、その都度開いて該当の箇所を読むほうが確実かも、と。w)
『嫌なこと、全部やめても生きられる』
『嫌なこと、全部やめても生きられる』プロ奢ラレヤー著
本について、雑な概要
- 人に奢ってもらってご飯食べたりとかしてる「プロ奢」氏の、人生についての考え方や、奢ってくれた人のエピソードなどが書いてある。
- 著者は、大学を中退して、プラッと大した金も持たずにヨーロッパで3ヶ月暮らし、帰国後から「奢られ」て生きているという、ツヨい若者。
読んだきっかけ
- Twitterでのプロ奢氏の、「Amazonの欲しいものリストに本を入れてくれたら購入して送ります」というプレゼント企画でタダで手に入れました。w
(現在はそのアカウントはもうありません、すみません) - 正直、初めてTwitterでプロ奢氏を見つけたときは、素直に面白いって思ったけど、年齢が若かったのでイマイチ深追いする気になれなくて、敬遠してた。
でもせっかく貰ったから読みました!←
読んでみたら、全然タメになった
- 敬遠していたものの、実際にちゃんと読んでみると、納得の連続だった。
- 「嫌ならやめよう!」って感じで、様々な事柄が挙げられているが、どれもやめても大丈夫な理由、むしろやらない方がいい理由が添えられて書かれていて、どれも納得がいくもので、合点がいく。
- 著者は「日常的に読書をしている」らしく、読み進めていて、引っかかっていた「若い」ということを感じさせなかった。(後半になるにつれて「若い文体」はなぜか頻繁に出てくるようになるけど)
予想外に「なるほど」
- 先日読んだ『あやうく一生懸命生きるところだった』よりもなるほどポイントは多かった。こちらは日本で生活している人だからか?自分が実際煩わしいと思っていることを解説してくれている箇所が多かった。
- なので、読んでいて「なんだ、やらなくていいじゃん」と、気持ちが楽になった気がした。
全体を通して感じたこと
- 著者のプロ奢氏は、人間や社会を観察する能力が高いと思った。(「自分と他人を比べると不幸になるよ」って『あやうく一生懸命生きるところだった』にも書いてあったけど、うっかり自分の世間知らずさと比較して、ちょっと凹んでしまった。)
- 連続して読んだから感じたのかもしれないけど、『あやうく一生懸命生きるところだった』も本書も、「嫌なことしてお金稼ぐなんてやめようよ。どうしてもお金が足りなくなったり、やりたいことのためにお金が必要になったらその分だけ働けばいいじゃん」みたいなことを言っており、嫌なこと我慢して働きたくない人って今の時代たくさんいて、そういうテーマが受けるというか受け入れられるのかなぁ、と思った。他にも「なるほど」と思うところが多数あったが、自分が2冊から受け取ったメッセージが似たようなことだった、と読み終わって感じた。似たような本を連続して読むのは案外良いかもしれない。
(プロ奢氏みたいなナチュラルにやりたくないことをやらない、が体得できている人からすると、「なんで嫌なのに働いてるの?辞めたって困らないよ」みたいな疑問の念もあるのかもしれないが) - 「嫌なことしない」はナウなライフハック
- やはり日常的に読書している人の言うことは厚みが違うよなぁ、と思った。
自分も発信することに厚みを持たせたいし、考えたことを書くことは嫌いではないので、そこを伸ばしていきたいと改めて思った。
おまけ
- 最初の方でも書いたが、『あやうく一生懸命生きるところだった』もそうだけど、後半になるとどんどん文体が雑、というかフランクになっていくのなんなの?w
最初の方は比較的真面目に書かれているので、後半に雑さを感じさせるのは良くないと思った。
いや、前半フランクで後半になるにつれて文章が固くなる方がだめかな?「なんかめんどくさそう!」って思って最後まで読まなくなってしまうかなぁ。
どちらが良いかはわからないけど、自分は後半の文体が雑なのはちょっと気になってしまった。(あくまで自分が感じたことだけど)
最後に
- 最後まで読んで、うっかり一番印象に残ってしまったことが、「読書はやっぱり大事」
- なので他の内容があんまり頭に入ってこず、ただただ「読書してる人の文章はすげーな」って思いながら読んでしまった。w
- あり余る積ん読を消化したい気持ちと、再読して本の内容を自分のものにしたい気持ちとで葛藤してます。
『あやうく一生懸命生きるところだった』
『あやうく一生懸命生きるところだった』ハ・ワン著、 翻訳:岡崎 暢子
本について、雑な概要
- 会社をやめてのんびり生きる中年男性の、がんばりすぎない方が良いのでは、みたいな話。
- 著者は韓国人の中年男性。元会社員。
- イラストレーターでもある著者のゆるいイラストが挿絵として各項に添えられている。
- カバーもなんか良い感じの紙で、挿絵もあって文章中に手書き風の文字があったりして、めっちゃエッセイ感ある。(私は色とか図でごちゃごちゃした紙面は苦手だけど、全然許せるレベル。縦書きで読みやすいのもあってか。)
読んだきっかけ
- ネットサーフィン中に目に止まって、出版社のサイトから目次を見たら、ちょっと読みたくなった。本屋に行ったらあったので、そのまま買ってしまった\(^o^)/
- なんか話題になってるみたいだし、最近勉強とか行き詰まってきたし、ゆるめの本を読んでみてもいいのかな〜という思い。
- 最近読書もまともにしてなくて、本を読み終えるという達成感を長らく経験していないので、活字に慣れるのにとりあえず一冊買って読んでみよう\(^o^)/という思い。
韓国人が書いた本を読むのは初めて
- 「韓国人の著者」というところにちょっと興味があった。
- 別に何人の書いた本でもいいのだけれど、「韓国人かぁ〜」と思って読み進めると、文章自体に、元々日本語で書かれた文章とは違った、英語の翻訳本のそれとも違う不思議な雰囲気を楽しめた。
- あと「韓国は学歴社会だもんな〜」とか、読んでいる最中に自分の持っていたなけなしの知識が頭の中で存在感を放ってた。w
自分の人生を否定することで立ち止まるのは時間の無駄だという思い
- そう思って手に取ったが、これ系を読むのは久しぶりだった。
- どこかで聞いたようなフレーズ、どこかで聞いたフレーズにちょっと改変を加えたようなフレーズが次々飛び込んでくる。
- 目新しさはない、でも決して退屈でもない、不思議な感覚
- 1回では刺激が足りないので、もう一回読みたいな、と読みながら思った。w
- あと、自分も仕事を辞めて無職で、学生ではないけど2回目の「モラトリアム」の最中、みたいな状況だったから、状況は少し違えど似ている境遇の話に自分を重ねて読んだところがある。
エッセイである
- あまりこういうエッセイは読まないのだが、(前回読んだ記憶があるのは、『読みたいことを、書けばいい。』(田中泰延 著)。ちなみにこの本が、「エッセイ」というものの存在感が増したきっかけになった。)エッセイに特有の、思いをそのまま書いているような感覚が、後半になるにつれて気になってきた。
- 「○○だろうか、しかし××でもあるのではないか、どちらかはわからない」みたいな文章が、後半になるにつれて非常に気になった。多分、自己啓発本とかそういうのを読みすぎて、断定する文章がないと物足りないと感じてしまうのかもしれない。
- 自分が感じた物足りなさも、著者のいう「過程を楽しめていない」ことが原因ではないかと感じた。
過程を楽しもう
- あえてこの本で学んだことを挙げるなら、これが一番デカい。書いた方も、伝えたいことだったから最後の方に持ってきたのでは。
- 今まで自分が何をやってもすぐ飽きていたのは、「すぐに結果、結論を求めて、過程を全然楽しめてない」からだった!という気づきがあった。w
最後に
- 精読ではないにしろパラっとでももう一回読みたい、読んだ方がいいと思ってる。(最後まで読んだ上でまた最初から読んだら、あまり共感できないと感じたところも納得しながら読めるのではないか、と。)
- 今現在、身を粉にして働いている人にも、また我々と同じように「立ち止まってみたけど、先が見えず結局毎日がそんなに楽しくなくて不安」という人にも、読んでみてほしい本だと思った。
- もっかい読みます。